Webデザイナーを目指す方向けに、専門学校の学費相場、スクールとの違い、就職率の実態、社会人向けの選び方まで、失敗しない進路選びを徹底解説する総合情報サイトです。

>

専門学校卒業後の主な就職先

「就職率90%以上」をどう読むか|就職の実態


パンフレットに並ぶ「就職率90%以上」「就職率100%」という数字は、多くの場合「就職希望者」を分母としています。進学・進路変更・活動を途中でやめた学生は分母から除外されるため、入学者全体のうち何人がWeb業界に就職したかを示す数字ではありません。


これは不正な表示ではなく、業界で一般的な集計方法です。ただし読み手が定義を知らないまま比較すると、実態を見誤ります。数字そのものより、その内訳を確認することが大切です。


数字の内訳で確認したいこと


見るべき指標なぜ重要か確認方法
就職希望者数と入学者数の差分母がどれだけ絞られているかが分かる学校案内の注記、進路実績の詳細
業界別の内訳Web・IT業界への就職割合が分かる「Web業界への就職者は何割か」と質問
職種別の内訳デザイナー職以外の割合が分かる就職先一覧の職種表記を確認
実際の就職先企業名規模や事業内容の傾向が読める卒業生の進路一覧を請求する
3年後の定着状況ミスマッチの起きやすさが推測できる卒業生の近況を尋ねる

「就職できない」と言われる主な理由


「WEBデザイン 専門学校 就職できない」という声の背景には、いくつかの共通した要因があります。淡々と挙げると次の通りです。


  • 授業の課題をこなすだけで、自主制作に取り組まなかった
  • ポートフォリオの制作着手が遅く、選考時期に間に合わなかった
  • デザイナー職だけに志望を絞り、応募数が極端に少なかった
  • 志望地域を絞りすぎた(求人数は東京・大阪に集中する傾向がある)
  • コーディングを避け、実装できる範囲が狭いままだった
裏を返せば、これらは在学中の行動で対処可能な項目です。学校の就職実績を見るときは、「良い実績を出している学生が何をしているか」を在校生や卒業生に聞くほうが、パーセンテージを眺めるより有益です。

卒業後の主な就職先とキャリアパス


WEBデザイン専門学校の卒業生の就職先は、Web制作会社だけではありません。同じ「Webデザイナー」でも、勤務先の種類によって仕事内容も働き方も変わります。


就職先の種類と特徴


就職先主な仕事特徴
Web制作会社受託でのサイト制作全般案件数が多く成長は速い。納期前は業務が集中しやすい
広告代理店・デジタルエージェンシーキャンペーンサイト、広告クリエイティブ企画から関われる。スピードと提案力が求められる
事業会社のインハウス部門自社サービス・自社ECの画面制作と改善一つのサービスに長く関われる。数値改善の視点が必要
EC・通販事業者商品ページ、バナー、LP制作制作量が多く、実務経験を積みやすい
印刷会社・DTP系企業紙媒体とWebの兼務グラフィック基礎が活きる。Web専業ではない場合もある
システム開発会社画面デザイン、フロントエンド実装開発工程の理解が求められる

職種の広がり


  • Webデザイナー:ビジュアル設計と制作の中心。多くの卒業生の最初の職種
  • UIデザイナー:アプリやサービスの画面設計。Figmaの習熟度が直結する
  • コーダー/フロントエンドエンジニア:実装担当。コーディングを得意にした学生の進路
  • Webディレクター:進行管理と提案。数年の制作経験を経て移行するケースが多い
  • 運用・アシスタント職:更新業務やバナー制作から入り、段階的に制作へ移る

待遇について正確に押さえておくこと


未経験入社時の給与水準は、一般に高いとは言えません。求人票を見るときは、月給の額面だけでなく固定残業代(みなし残業)の有無と時間数、賞与の支給実績、残業時間の管理方法を必ず確認してください。「月給25万円」と書かれていても、そのうち何時間分の残業代が含まれているかで実質は変わります。


一方で、Web業界は未経験から正社員として制作職に就ける入口が比較的用意されている分野でもあります。研修制度、書籍・セミナー費用の補助、資格取得支援、リモート勤務の可否といった条件も含めて、複数の軸で比較するのが現実的です。給与だけで判断すると、教育環境の整った会社を見落とすことがあります。


なお、実務未経験での案件獲得は難しく、卒業後すぐにフリーランスとして独立することは極めて困難です。クライアントは実績と対応力を見て発注するため、まずは企業で実務経験を積み、そのうえで独立を検討するのが現実的な順序になります。


内定を左右するポートフォリオの重要性


WEBデザイン専門学校に通ううえで最も重要な事実は、授業を受けるだけでは就職できないということです。Web業界の選考では履歴書以上にポートフォリオが見られ、質の高い作品集を用意できているかが内定を大きく左右します。


そして質の高いポートフォリオは、授業時間内だけでは仕上がりません。授業外の時間を使って自主制作を重ね、講師や先輩に見てもらいながら改善していく作業が必要です。ここに取り組めるかどうかが、同じ学校の卒業生の間でも結果が分かれる最大の要因になります。


評価されるポートフォリオの構成要素


  • 作品点数:5〜10点程度。うち2〜3点は制作意図まで説明できる主力作品
  • 課題設定:誰のどんな課題を解決するために作ったかを明記する
  • 制作プロセス:ワイヤーフレーム、配色の検討、修正前後の比較を載せる
  • 担当範囲:チーム制作の場合、自分がどこを担当したかを明示する
  • 実装力の証明:可能ならコーディングして実際に動く形で公開する
  • 見せ方:ポートフォリオサイト自体のデザインと読みやすさも評価対象になる
「きれいな作品を並べる」のではなく、「なぜこのデザインにしたかを説明できる」ことが評価されます。採用担当者は完成品の美しさだけでなく、その学生が入社後に指示を理解し、意図を持って手を動かせるかを見ています。

2年制の場合の制作スケジュール目安


時期取り組むこと
1年前期ツール操作とデザイン基礎の習得。模写・トレースで手を慣らす
1年後期架空サイトの制作課題に着手。自主制作を1点始める
1年終わり〜2年前期主力作品の制作。実装まで行い、講師の講評を受けて改善する
2年前期後半ポートフォリオサイトの構築、企業研究と応募先の整理
2年後期選考・面接。フィードバックを受けて作品を随時改善する
就職活動の直前に慌てて作り始めると、質を高める時間が取れません。入学直後から「これはポートフォリオに載せる作品か」を意識して課題に取り組むだけで、2年後の完成度は大きく変わります。

入社後のリアルと社内でキャリアを伸ばす方法


就職はゴールではなく出発点です。入社直後からメインビジュアルのデザインを任されることは少なく、多くの場合はバナー制作、既存ページの修正、更新作業といった運用業務から始まります。


これを「思っていた仕事と違う」と感じる人は少なくありません。ただ、運用業務は既存デザインのルールを読み解く訓練になり、短いサイクルで数をこなせるため成長の起点になります。最初の担当領域が狭いこと自体は、キャリアの停滞を意味しません。


よくあるつまずきと、社内でできる対処


つまずき背景社内で取れる行動
制作に関われず運用ばかり実力の確認段階、案件のアサイン状況面談で「次に挑戦したい領域」を具体的に伝える。自主提案を作って見せる
給与が想定より低い未経験入社の初期水準、評価制度の周期評価制度の項目と昇給時期を人事に確認し、達成基準を上司と合わせる
繁忙期の残業が多い納期集中、進行の属人化作業時間の記録を残し、工数見積もりの精度を上げて相談する
デザイン以外の業務が多い少人数体制、職域の広さ兼務の経験を実績として整理する。担当比率を上長と定期的に見直す
自分の適性が分からない職種の幅が広いため社内異動・社内公募(FA)制度の有無と応募条件を確認する

転職を急ぐ前に社内でできること


不満が出たときに転職を検討するのは自然な流れですが、実務経験1年未満での職場移動は、次の選考でも「経験の浅さ」で評価されがちです。まずは今の会社の中でできることを一通り試すほうが、結果的に選択肢が広がります。


  • 目標設定を上司とすり合わせる:評価項目を確認し、次の等級に必要な要件を具体化する
  • 社内研修・勉強会を使う:受講費補助やセミナー参加制度があるなら申請する
  • 資格でスキルを可視化する:ウェブデザイン技能検定やAdobe関連の認定資格など、社内で評価対象になるものを選ぶ
  • 社内公募・FA制度を確認する:UI領域やディレクションへ移りたい場合、社内異動が最短ルートになることがある
  • 担当案件で数字を出す:改善提案とその結果を記録しておくと、面談でも次の職場でも説得力が出る
社内公募や異動は有効な手段ですが、それだけを解決策にしないことも大切です。現在の担当業務で成果を積み上げることが、社内での評価にも、将来どこで働くにしても効いてきます。
この記事をシェアする
▲ PageTop